第44回 種生物学シンポジウム「タケとササの種生物学」
竹林景観ネットワーク第11回研究集会
2012年12月8日(土),滋賀県高島市において第44回 種生物学シンポジウム「タケとササの種生物学」(竹林景観ネットワーク第11回研究集会)を開催いたします。
概 要
滋賀県高島市の奥琵琶湖マキノパークホテル&セミナーハウスにおいて2012年12月8日(土)に開催いたします。
内容:タケやササは,マツやサクラなどと並び日本人の生活や文化と深く係わっている植物である。日本ではその利用や管理がかねてから重視されてきたが,人間活動にともな い侵入植物として分布を拡大してきており,在来種の更新や潜在自然植生への移行を阻害する存在としても注目を集めている。一方,タケ・ササ類の生活史の解析や個体 群・遺伝構造には大きな関心が持たれつつも,巨大なクローナル植物であり有性繁殖が稀であることから必ずも実証が進んでいなかった。その結果,一般市民はもちろん 研究者の間でさえタケ・ササの振る舞いに関する認識や解釈に齟齬を感じざるを得ない場面が生じている。本シンポジウムではまず「○×ササと△□ザサは別種なの か?」「タケは本当に○×年に一回しか開花しないのか?」といった疑問に対し,近年の分子生物学的な手法によって確かめられつつある解答を提示する。次に,日本で 最も危険な外来生物となっているモウソウチクの侵入地の例などに基づいて,タケやササが生物多様性だけでなく生態系の機能やサービスに極めて強い独特な影響を持っ ていることを概観し,それらと生活史特性との関連性について考える。さらに, タケ・ササが日本の里山の景観や生態系を劇的に変貌させている事に対して,研究者以 外によってどのような活動がなされ,タケ・ササに関するどのような研究やそのアウトリーチが求められているかについて検討する。以上の話題に基づいて,タケ・ササ の研究に関する今後の課題の整理や,研究成果の啓蒙を促すための種生物学の方向性について議論する。
世話人:小林 剛(香川大学),久本洋子(東京大学),福島慶太郎(京都大学),鈴木重雄(立正大学),河合洋人(岐阜大学),竹林景観ネットワーク(BaLaNET)
2012年12月8日(土) 第44回 種生物学シンポジウム「タケとササの種生物学」
2012年12月10日(月) エクスカーション
シンポジウム
日時:2012年12月8日(土) 9:30~17:30
場所:奥琵琶湖マキノパークホテル&セミナーハウス(滋賀県高島市マキノ町高木浜2-1-5)
参加申し込み:種生物学会のホームページ よりお願いいたします
【プログラム】
● 9:00-9:05 趣旨説明 小林 剛(香川大学)
● 第1部
近年の分子系統解析・分子機能解析が変える従来のタケとササの分類体系と生活史の概念(コーディネーター:久本洋子)
9:05-9:10 久本洋子(東京大学):第1部の趣旨説明
9:10-9:40 小林幹夫(宇都宮大学名誉教授):タケ・ササ類の分類体系と分布類型
9:40-10:10 陶山佳久(東北大学):タケとササの分子生態学
10:10-10:40 北村系子(森林総合研究所):開花の個体性と繁殖様式
10:40-10:45 久本洋子(東京大学):第1部に関する討論とまとめ
10:45-10:55 休憩
● 第2部
巨大クローナル植物の侵入が引き起こしている生物多様性と生態系機能の変化:種生物学と群集生態学・生態系生態学との接点(コーディネーター:福島慶太郎)
10:55-11:00 福島慶太郎(京都大学):第2部の趣旨説明
11:00-11:25 福澤加里部(北海道大学):冷温帯林の炭素・窒素動態におけるササの役割
11:25-11:50 篠原慶規(名古屋大学):モウソウチク林における水循環-他の森林タイプとの比較-
15:00-15:25 梅村光俊(名古屋大学):モウソウチク林におけるケイ素循環と植物ケイ酸体としての挙動
15:25-15:50 福島慶太郎(京都大学):全国に分布するモウソウチクの遺伝的多様性と形態的可塑性
15:50-15:55 福島慶太郎(京都大学):第2部に関する討論とまとめ
● 第3部
タケとササの侵入・分布拡大に種生物学は何ができるのか?:種生物学の新たな役割と社会との接点を探る(コーディネーター:鈴木重雄・河合洋人)
15:55-16:00 河合洋人(岐阜大学):第3部の趣旨説明
16:00-16:30 鎌田磨人(徳島大学):拡大を続ける竹林への対峙と竹林再生活動に必要な情報
16:30-16:40 河合洋人(岐阜大学):第3部に関する討論・まとめと総合討論への序論
● 総合討論
16:40-16:50 井鷺裕司(京都大学):タケとササの種生物学に対する総合コメント
16:50-17:10 討論
エクスカーション
日時:2012年12月10日(月)8:45~14:30
場所:滋賀県近江八幡市
案内人:鈴木重雄(竹林景観ネットワーク・立正大学),鳥居厚志(竹林景観ネットワーク・森林総合研究所関西支所),村西耕爾(八幡山の景観を良くする会),小関皆乎(八幡酒蔵工房)
参加費:1,000円
申し込み方法:
12月8日(土)に会場ブースで参加を受け付けます。その際,参加費と昼食代をお支払い下さい。12月8日(土)に参加できない方は,12月3日(月)までに竹林景観ネットワークの鈴木までご連絡ください。
コース:
近江八幡駅北口階段下(8:45集合)→日杉山(八幡公園の竹林を遠望し,竹林の拡大の進行を観察)→八幡公園(放棄竹林・整備竹林の内部の観察,八幡山の景観を良くする会による放棄竹林整備の紹介)→八幡神社→八幡酒蔵工房(八幡酒蔵工房の活動紹介,昼食)→いまさか・西の湖・竹粉実験畑(西の湖のアシ原景観と湖上耕作の紹介,竹粉の活用事例の紹介)→円山バス停(14:30解散)
※解散場所から近江八幡市街地を経由して,近江八幡駅行きのバスが14:31にあります。
注意事項:
・種生物シンポ会場(奥琵琶湖マキノプリンスホテル)から近江八幡までは,車で1時間半(湖東廻り高速利用)から2時間(湖西廻り琵琶湖大橋利用)かかります。10日の集合時間を考慮すると前日の近江八幡入りをおすすめします。
・一部,竹林等の内部に入る箇所がありますので,動きやすい服装・靴で参加して下さい。
・ご希望の方には,昼食場所の八幡酒蔵工房で,温かい豚汁+ご飯(600円)を用意できます。その他,飲み物・食べ物はご持参ください。
連絡先:鈴木重雄(竹林景観ネットワーク・立正大学,suzusige_1980@yahoo.co.jp )※@を半角にしてください。